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最終更新日:2024年04月19日
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第670話「このこどこのこ5」

隣りの家に住む源じいこと源造さんがやって来ると、孫の健太に言った。
「お母さん遅くなるってよ」
「そっか!残業か」何故か嬉しそうな健太。
「今日はここに泊ってく。ミツキと一緒に寝るんだ」
「ミツキは今日帰っちゃうんだよ」と母。
「じゃ、サトルの家に泊る」
「ダメだ!そんな我がまま言ったら、もうここにも来させないぞ」
口を尖らせてうつむく健太の顔を覗き込むと、サトルが言った。
「また連れて来るからさ」
「俺も妹が欲しいな~」
それを聞いたアタルが、ご飯茶碗を片手に笑いながら。
「お母さんに言って産んでもらえば?」
「えっ?ああそっか!」と目を輝かせる健太。
一緒に食事をしていたサトルがアタルの頭をパシンと叩き、何かを言っている。
「帰ったら、お母さんに頼も~っと」まるでおもちゃでもせがむかの様だ。
「健太、赤ちゃんはな、天からの授かりものなんだ。だからそう簡単には産めないんだ」と珍しく祖父が真っ当な事を言う。
「テンからの?・・・」
「天は空だ。まあ、神様が与えてくれるって事だな」
「ふ~ん。神様か・・・・飛行機に乗れば会えるか?」
「会えないな」とサトル。
「じゃ、どうやって赤ちゃんをくれるんだ?」
「こればっかりはな~まず相手が・・」と言い掛けたアタルの頭を、またパシンと叩くとサトルが言った。
「健太が良い子にしてたら、もしかしたら産まれちゃったりなんかするかもよ」
「そうそう神様にお祈りすると良いかも」とアタル。
食事が終わり、皆で何となく酒宴が始まった。
連日の猛暑で、今年の夏は随分と長く感じたが、網戸の外からは、秋を告げる虫達の合唱と一緒に、ほんのり冷たい風が室内に流れ込んで来る。
「もう秋かね~」と言いながら母が窓を閉めようとすると、突然外から声が。
「神様~お母さんに赤ちゃんを産まらしてくださ~い」
ミツキの横で寝ていたはずの健太が、いつの間にか夜空に向かって叫んでいた。

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