今年も年末ジャンボの時期がやって来た。
「Ａさん。もう宝くじ買いました？」とＢが聞いた。
「あんなもん当たる訳ないだろ。買う奴の気が知れん」
「あらら、随分さめてますね。宝くじを買うって事は夢を買うってことっすよ」
「夢は寝てる時だけで充分だね。夢見て腹いっぱいになる訳じゃないだろ。ちゃんと地に足をつけて生きて行くのが人生ってもんよ」
「それはそうですけど、年に一度年末ぐらいは夢を見たって良いんじゃないっすかね。ひねくれた今の現実社会ばかり見てたって、つまらないし、疲れません？」
「俺は現実しか見ないんだ。お前は買ったのか？」
「買おうと思ってるんすけど、給料日前なもんで、金が無いんすよ」
「貸してやろっか？」
「いえいえ、もし当たったら、もめ事の原因になるじゃないっすか」と、慌ててかぶりを振るＢ。
「本当におめでたい奴だな」
それを聞いて近くに居た部長が言った。
「そう言えば、まだ俺も宝くじ買ってなかったな」
「あっ、そうだ部長、会社で宝くじ買いません？当たったら会社が半分で、残りを社員に分配するってのはどうっすかね」と興奮気味に話すＢ。
「おっ、いいな。十万分ぐらい買うか？宝くじ。ってそんな事できるか！却下！会社の金をギャンブルに使うなんてもっての他だ。何を考えてるんだ」

つづく