第721「ファミレス」
妻と二人で久し振りに外食をする事にした。
安く済ませようと近くのファミレスへと行く。
席に案内され、二人でメニュー表を眺めていると、後ろの席から女の子二人の会話が聞こえて来た。
「ねえ、あんたんとこの親って、まだ子供がサンタを信じてるって思ってる」
「えっ?中学生相手にそれはありえないっしょ」
「だよね~でもさ、うちの親はまだ私がサンタを信じてると思ってるんだよ」
「え~っ!マジ?」
「今年はサンタさんに何を頼むか早めに決めておきなさいだって」
「サンタさんってまだ早くない?今9月だし」
「ほら、今年は不景気じゃん、ボーナスも無いみたいだし、きっと今からお金をキープしときたいんだよ」
「いい親じゃ~ん。私なんて五千円あげるからこれで何か買いなさいだかんね」
「今年はパパがサンタさんの連絡係だからパパに頼みなさいだって、よく言うよあのバカ親父が」
「え~マジでいってんの?それってヤバくない?ポエムな親だよね~ギャハハハ、でもさ、親ってそういうとこあるよね~いつまでも子供のままにしておきたいっ
ちゅうかさ、今は皆スマホ持ってるしSNSだってあるわけじゃん、情報は何でも入って来るっちゅうの、大人が思ってるより、うちらガキじゃないんだよね」
僕と妻は顔を見合わせ、思わず肩をすぼめる。
「でもさ、あえてダマされる事にした。だってサンタさんなんだから、値段なんて関係ないし」
「あっ?もしかして・・」
「iPhoneをサンタさんにお願いするの、新機種出たしね」
「やっぱそう来たか~」
「私はおこちゃま、サンタさんにお願いしゅるの~」
「きゃはははは~うける~。ていうか、あんたのそのメニュー何とかならない?」
「いいじゃん、好きな物が全部入ってんだから。オムライスにハンバーグ、タコさんウインナーも入ってるし、幸せ感満載だよね~。ほい、アメリカの旗あげる」
「それイギリスだし」