友達のＡには中学生になる息子がいる。
「そうか、早いもんだな。もう中三か」Ｂが言った。
「背なんか俺より大きいんだから、やんなっちゃうよ」
「何かスポーツやってるんだろ？」僕が言った。
「野球をやってるんだ」
「野球部か、大変じゃないか？」とＢ。
「そうなんだ。親の方が参っちまうよ。試合ったら土日だからさ」
「なに、送り迎えでか？そんなもんチャリンコで行かせりゃいいだろ。何で親が送迎するんだよ」と僕。
「だって、釧路とか旭川で試合があるんだぞ」とＡ。
「練習試合だろ。昔しはさ、チャリンコで行ける範囲でしか試合ってなかったよな。大会とかは別にしてさ。でも、それって野球部だけなのか？」と僕。
「いや、サッカー部も大変らしいぞ」とＡ。
「それにしても何でわざわざ練習試合に釧路や旭川に行くんだ？中学校なんか地元に沢山あるのに」と僕。
「監督としては自分のチームを強くしたい訳よ。だから色々なところと試合をさせたいんだよ」とＡ。
「だいたい親を頼りにしなきゃ成り立たない部活なんて絶対おかしいよ。そんなんだから軟弱な子が多いんだよ。そもそも部活っていうのは、スポーツを通して健全な肉体と精神を培う為のものだろ。強ければ良いってもんじゃないって俺は思うんだけどな」とＢ。
「確かにお前の言う通りかも知れないな。でも家の子だけ送って行かないって訳にいかないんだよ。野球はチームでやるもんだからさ」
「当番制とかにしたらどうなんだ？各親が持ち回りでさ」と僕が言う。
「家の子だけだったら良いけど、何かあった場合困るだろ。他人の子を乗せてるとさ」と言うＡ。
「明日は折角の日曜日なのに、何か最近子どもの召使いやってる見たいでさ。親としては、いたたまれない気分だよ」とＢ。
「あっ！そう言えば、お前の息子も今年から中学だったよな。野球部なの？」と僕がＢに聞いた。
「サッカー部。明日は釧路」