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最終更新日:2024年04月26日
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第483話「律子さん59」

ここしばらく太陽を見ていない。こう毎日雨ばかりでは気が滅入ってしまう。
せっかく咲いた綺麗なバラもこの雨でダメになってしまいそう。
私はバラをカーポートの中に一時避難させようと思い、大きなバラの鉢を持ち上げようとした。
その瞬間、グキッといった感じで腰に激痛が走った。
雨は益々強くなる。このままではいけないと思い、しゃがみ込んだ体勢から後ろに両手をついて、いったんお尻を地面に着けて座ろうとしたが、手が滑って
そっくり返ってしまい、今度は尾てい骨をコンクリートの地面に強打。余りの激痛に「はうっ!」と呻きにも似た声と同時に息が止まる。
雨は更に強くなり、ベトベトになったTシャツが体に、髪の毛が顔に張り付く。
私は今、バラの鉢を股に挟んだ状態で仰向けに倒れている。まるでボロ雑巾の様に惨めな姿で・・・。
やがて痛みのショックからなのか、もよおしてきた。
今日は主人が残業で遅くなると言ってたことを思い出す。おそらく今は夜の七時過ぎだろうから戻るのは十時くらいか・・・死というものをこれ程身近に感じ
た事はなかった。きっとこのまま雨で体温が奪われ、ウンコまみれになって死んで行くのだ。そして主人も言われ続けるのだろう、あいつの女房は雨の日にウ
ンコまみれで死んだんだと。そう考えると涙が出てきた。
「何やってんの?」異常なまでに落ち着いた主人が私の顔を覗き込んでいた。
私のこの姿を見て平然としている主人が信じられなかった。私が今何時か聞くと主人はまだ四時だと言った。
そんなはずはない。
「何泣いてんだよ。また寝ぼけたの?寝相悪過ぎだよ。花瓶ひっくり返しちゃってさ」私の周りにはベットから落ちた衝撃で花瓶が倒れ、バラが散乱し、髪と
パジャマがベトベトに濡れていた。夫婦といえど、かなり恥ずかしい状態ではあるが、夢であった事にホッとしながらも、あえて何事もなかった様に寝室から
出ようとする私。
大丈夫かと聞く主人に私は言った。
「うん、トイレ」

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