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最終更新日:2024年04月26日
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第535話「律子さん69」

母が六花亭の紙袋を下げてやって来た。
「シュークリーム買って来たから食べない?」
「また沢山買って来たんじゃないでしょうね」母が手土産を持って来る時は、いつも量が半端ではないのだ。
「今日は大丈夫、ケーキだとさ、あれも美味しそうこれも美味しそうって買ってる内に、数が増えちゃうんだけど、シュークリームは一種類だから」何となく言
ってる事は理解できる。
「五個しか買ってないから、あんたと私が一個づつ食べて、後は婿殿の分」
「えっ?明日の分は買って来なかったの?」
「だってあんた怒るからさ」
「あら、やればできるじゃないの」一回で食べきる量がちょうど良いという事をやっと分かってくれた様だ。
「わざわざ遠回りして買って来たんだよ、あんた六花亭のシュークリームしか食べないからさ」確かにその通りで、他のお店と比べると甘さが控え目で、私には
ちょうど良いのだ。
「婿殿はどうしたの?今日は休みでしょ?」何故か主人の事を母は婿殿と呼ぶ。
「コンビニ。もう戻るんじゃない」私はとりあえず三人分のコーヒーを入れる為、台所へと向かう。
「お父さんに、うちに来ること言ってきた?」母は生返事をしながらシュークリームの箱を開けだした。
「あら、里ちゃんいらっしゃい」主人が戻った様だ。
「あっ、シュークリーム。奇遇だね、僕も買って来たんだ」と言って主人は六花亭の紙袋から母と同じ箱を取り出した。
「あらやだ奇遇もいいとこね」と母が驚く。
笑いながら主人はテーブルの上に箱を置いた。
「やっぱり明日の分もあるんだね。でも仕方ないよね」母は恐る恐る私の顔を見ながら言った。
「こんな偶然もあるんだね。まあ仕方ないよ」私が笑ったその時、インターホンが鳴った。父だった。その手には、もう見慣れた紙袋が下げられていた。
「律子の好きなシュークリーム買って来たぞ」と言って二人より一回り大きな箱を取り出した。

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