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最終更新日:2024年04月26日
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第610話「マ-ちゃん56」

友達が台所で、牛乳パックをすすいでいた。
「おっ、偉いな。お片付けしてんのか?」と僕が笑う。
「全く、古女房みたいによ」
奥の部屋から友達の息子である小学五年生のマーちゃんの声が聞こえて来た。
「いつも言ってるじゃないですか!牛乳パックは資源なんで、きちんとすすぐ様にって、ゴミ箱に捨てちゃダメなんですから」
「そりゃお前が悪いな」僕が友達に言う声を聞いてマーちゃんが奥の部屋から顔を出した。
「あっ、いらっしゃいませ」と礼儀正しいマーちゃん。
「子は躾っていうけど、そうじゃないな」と父親である友達の顔を見て僕が言う。
「何でだよ。俺が、ガチっと躾た賜物だろうが」
「いや、いや、躾されてるのは、お前の方だから」
「お父さん!また洗面所の電気が点いてますよ」
「お前さ、学校でもそんなに口うるさいのか?」
「学校じゃ別に普通ですよ。家の場合は、家計に直接影響するじゃないですか」
「お前、いつも環境破壊がどうのって言ってるだろう。そういう事も考えてるなら、ちゃんと学校でも同じ様に言わなきゃダメだろう」
「マジで言ってます?」
「えっ?マ、マジだよ・・」
「僕だって空気ぐらいは読めますよ。学校でそんな事言ったらどうなるかなんて、想像に難くないですよね」
「が、がたく??ああ難くないってか、うん、まあそうか、そうだな・・・」
「世の中が段々複雑になって来てる分、子供の世界も同じ様に複雑になって来ているんです。お父さんの子供の頃とは違うんですから」
「でもな、基本はそんなに変わらないと思うぞ」
「基本って?」
「子供らしさだな」
その時、急にマーちゃんが叫んだ。
「あ~っ!大変だ!僕、友達と約束してたんだ!」
「えっ?約束?片付けは?」
「それは大人の仕事です。僕は子供らしく友達と遊んで来ます」そう言い残すと、マーちゃんは急いで出て行った。
残されたのは僕ら大人2人。友達は、僕にスズランテープを渡しながら言った。
「お願い、手伝って」

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