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最終更新日:2024年03月29日
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第438話「何となく」

三人で飲んでいる居酒屋で、Bが言った。
「何で仕事辞めたんだ?」
「何となくかな」Aが笑みを浮かべて言った。
「また、何となくか」僕が溜息混じりに言った。
A、Bの二人とは高校の頃からの付き合いで、今日は久し振りにAが帰郷したので一杯飲もうという事になった。Aは霞が関で働く超エリートだ。
「何となく一流大学行って、何となく官僚になって、何となく美人と結婚して、何となく子供つくって、何となく退職。万事が何となくで、それで上手くいってるんだから、お前の人生って凄いよな」とB。
「まさに理想を絵に描いた様な人生だもんな」と僕。
「そんなことないよ。君達だって立派じゃないか」
「お前さ、何?その君達って。随分と他人行儀だし、気持ち悪いんだけど」少しイラついた様にBが言った。
「でもさ、AはAなりに努力してるんだよ」と僕。
「本当にそう思うか?こいつと努力がどう結び付くか考えてみろよ。受験一つとったって前日まで俺らとツルんでたんだぞ、勉強なんてしてないんだから」とB。
「そりゃ、お前の決めつけだろう。俺達と会ってない時は、猛勉強してたかも知れないし。なあ」と言って僕はAの肩を叩いた。
「いや、勉強らしい勉強はした事がないかも・・・」
「お前、感じ悪いね。俺がせっかくフォーローしてやってるのにさ」と言う僕を笑いながらBは言った。
「それで仕事の方は、これからどうするんだ?」
「うん、もう決まった」
「天下りってやつか?」
「そうじゃないよ。ちゃんと面接したんだよ」
「何となく面接したら受かったってことだろ」
「うん、まあそんなところ」
「俺らもさ、これからは何となく生きた方が良いのかもな。何となく歳をとって何となく死んでいく」そう言ってBは近くに居た店員にビールを注文した。
「何となくビール下さい」
少ししてからナンとビールを店員が持って来た。
「ほら、俺らの何となくは、所詮こんなものさ」

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