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最終更新日:2024年04月19日
最終更新日:2024年04月19日
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第586話「マーちゃん51」

部屋に入ると、僕は黒キャップの男性の事をマーちゃんに訊いた。
「時々見掛けるけど、何してる人?」
「無職の方です。お父さんとお母さんが一緒に住んでいます。僕が生まれる前からずっと無職なんだそうです。おばさんといっても、もうお婆さんですけどね。時々、こうしてお稲荷さんや、お惣菜なんかを持って来てくれるんです」
「いくつなんだろう?何で働かないんだろうな」
「今年、四十だって言ってました。働く気は全くないみたいです」
「親も大変だな」
やがてマーちゃんの父親である友達が帰宅した。
僕は稲荷ずしを一つだけご馳走になったが、とても美味しかった。
それから一ヶ月近くが過ぎ、僕はマーちゃんの大好きな、たい焼きを持って遊びに行った。
僕等がテレビを見ながらたい焼きを食べていると、来客があった。
マーちゃんが出て行くと、年輩の女性の声が聞こえて来た。
「息子を怒ってくれたんだってね。ありがとう」
「えっ?そんな、怒っただなんて、とんでもないです」
「ほら、先月お稲荷さんを持って来たでしょ?その後、凄く機嫌が悪くてね。一週間ぐらい部屋から出て来なくてさ、でもそんな事しょっちゅうだったから、こっちも気にしてなかったんだけどね。そしたら急に部屋から出て来て、私達に手をついて謝り出してさ、今迄すまなかったって言ってね。
何でもマーちゃんに言われた事が物凄くこたえた様でさ、他人様の子が本気で自分の事を心配してくれたって、もう凄いのよ、泣いちゃって泣いちゃって」
「えっ?じゃあ働く気に?」
「うん、次の日から仕事探しを始めてさ、今日、採用の連絡があったの。後から本人もお礼に来るってさ」
「おめでとうございます」
「ありがとう」玄関から二人の歓喜の声が聞こえる。
マーちゃんが嬉しそうにして大きな皿を抱えて戻って来た。
皿の中には、真っ赤なお赤飯が山盛りに入っていた。

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