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最終更新日:2024年03月29日
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第589話「手遅れ?」

友達の家に遊びに行くと、息子である中三の隆斗が食卓で勉強をしていた。
「おっ隆斗、勉強か?何でこんな所でやってんだ?」
「自分の部屋で静かに勉強するより、こうして家族とテレビを見たり、雑談しながら勉強した方が、よく憶えられるらしいんだよね」
「本当か?テレビ見たいから適当なこと言ってんじゃないのか?」僕が疑いの目で見ると、父親である友達が笑いながら言った。
「この前テレビでやってたんだよ。東大に入った子は、ほとんどがそうやって勉強してたって。でもそれは小さい頃からの話なんで、うちの場合は、既に手遅れだと思うけどな」
「何だよ、親が子供の可能性の芽を摘む様な事言ってどうすんだよ」と怒る隆斗。
「ああ、そうだな。悪い悪い。勉強する気になっただけでも良しとしなきゃな」
「そうだよ、俺が折角勉強してんだから、そういうこと言ってるとバチ当たるぞ」
僕が笑いながら、そばに行って教科書を覗く。
「へ~っ、現国やってんだ。おっ、正岡子規だな」
「うん、この人知ってる?」
「会ったことはないけどな。有名な人だよ。夏目漱石と仲が良かったそうだ」
「へ~そうなんだ。でもさ、この人の俳句って、な~んかよく分かんないんだよね」
「そっか?」
「うん、だってさ、あね食えば鐘が鳴るなり法隆寺って意味分かんなくね?」
「お前、よく字を見てから読めよ」と呆れる父親。
「いやいや、よく見るほど難しい字ってないから」
「あねって漢字書いてみろ」
「そんなの小学生で習う漢字だし」と言いながらノートの隅に姉と書いた。
「おっ、書けるじゃないか」
「あのね~俺の事、超バカにしてねえ?」と怒る隆斗。
「ご免ご免、勉強の仕方を変えるのは手遅れだったかと思ってな、よし、もう一回読んでみろ」と安心した様子の父親。
隆斗は教科書に目を移すと再び、声に出して読みだした。
「あね食えば・・・」ここで父親の怒りが爆発する。
「馬鹿野郎!それはカキだ。柿食えばだ!姉食ってどうすんだ!」

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