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最終更新日:2024年04月19日
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第666話「このこどこのこ1」

会社から家に帰ると、ソファーの上に見慣れないカゴが置いてあった。
中を覗いて驚いた。可愛らしい赤ちゃんがスヤスヤと眠っていたのだ。
「えっ?何で赤ちゃん?どこの子?さらって来た?」とそばに居た祖父に訊く。
「バカな事言うな。お前、本当に何も知らんのか?」
「えっ?何の事?」
「さっき、若い女が来て、お前の子だから育ててくれって、その子を置いていったんだぞ」と険しい顔の父。
瞬時に僕の頭の中では、過去のページをパラパラと捲りだしていた。
僕の彼女は家族全員が知ってるし、彼女じゃないって事だから・・・誰だ?若い女性って?もしそうだとしたら憶えてないわけないよな・・酔った時か?何度か酔って記憶を無くした事があったっけ。あっ!あの時か?いやいや違う・・・。
「心当たりあるんだな」父が不敵な笑みを浮かべる。
「えっ?な、無いよ。無い」
「無いのに考えるのって変じゃないかい?」と母。
「無いものは、な・・あっ」
その時、赤ちゃんの入ったカゴを見て、僕は全てを理解した。そういう事か。
「チッ!何だよあいつ、バラシタのか」僕のこの一言で、三人が一瞬で凍り付く。
「えっ?嘘でしょ?あんた子供がいるの?」と独り言の様に小さな声で呟く母。
「スージーだよ。参ったな」
「きっ金髪娘か!」と祖父。
それを聞いた父が祖父に。
「んなわけあるか!」そして次に、鬼の様な形相で僕を見ると、大声で言った。
「何処の店の女だ!」ここで僕は思わず吹き出してしまった。
「嘘だよ嘘、人を騙そうとするかさ、知らなかった?カゴに住所と名前が書いてあるんだ」すると父は、空気の抜けた風船の様にガクリとソファーの上に腰を落とすと、静かな声で言った。
「お前を脅かすつもりだったけど、やられたな」と父。
「サトルの子だよ。可愛いだろ?美しい月でミツキだって」と母。
「何でサトルの子が?」
ちょうどその時、父親のサトルが相変わらずの軽さを伴って帰って来た。
「チ~ッス!」  つづく

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