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最終更新日:2024年04月26日
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第711話「廃品回収」

祖父が自分の部屋を片付けていた。
「どしたの?急に」
「年寄りは、いつどうなるか分らんから身辺整理だけは、きちんとやっとかんとな」このセリフは二十年前から聞いている。
「ほとんど囲碁と将棋の雑誌ばっかじゃん」
「まあ、そうだな、お前もいらん雑誌とかあれば、出しとけ、今度の日曜日は町内の廃品回収だから」祖父はビニール紐で雑誌の束を縛りながら言った。
「うん、後で見とくよ」僕がそう言って祖父の部屋を出ようとした時、古い雑誌の中から何やら紙片が飛び出しているのに気付いた。
「あれ?茶封筒?」中から聖徳太子が三枚出て来た。
「え~っ!これって爺ちゃんのへそくりじゃないの?」
「えっ?どこに入ってた?」
「これ、この古いやつ」
「三十年前のか、婆さんに見つからんように隠しておいたやつだ」
「あっぶね~」
「この頃はよくへそくりしてたな~」と懐かしむ祖父。
「してたな~じゃないって、いつ頃までしてた?」
「う~ん十年くらい前かな」
「その頃ってもう婆ちゃん居なかったろ」
「うん、習慣ってもんは恐ろしいもんでな、死んだ後もしばらく続けとったんだ」
「全く無意味な事を・・・念の為に全部調べよう」
調べ出して直ぐに二枚目の茶封筒が出て来た。
「ほら、聖徳太子が二枚と伊藤博文が四枚出て来た」
「おお、こっちは福沢諭吉が二枚あった」と自分で隠したくせに驚く祖父。
結果、十万八千円が雑誌の中から発見された。
「お前が気付かんかったらとんだ大損だったな。
よし、お礼に半分やろう。
彼女と何か美味いもんでも食え」
「やった~ありがとう」
そんな時、父がやって来て雑誌の山になった部屋を見て驚く。
「な、何だ?片付けてたんじゃなかったのか?俺の方はもう終わったぞ」僕が父に経緯を説明すると。
父は「あっ!」と小さく叫ぶと同時に祖父の部屋を飛び出して行った。

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