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最終更新日:2024年04月26日
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第710話「て非なるもの(者)」

日曜日の朝、外に出ると隣りの家の愛香が花に水をやっていた。
「あれ?珍しいな、花になんか興味ないと思ってた」
「これでも一応は乙女だしね、たまにはそれっぽい事もするわけよ」
「でもそれって、いつも母さんがやってたろ」
「うん、昨日入院してさ」
「えっ?どっか悪いのか?」
「腸が超悪いらしい」
「お前、こんな時に冗談言ってんじゃねえよ」
「まあ、オヤジギャグを言えるくらい大したことないってことだよ」
「そっか、それなら良かったけど」
「飯は?愛香が作ってるのか?」
「飯は親父が担当」
「作れるのか?」
「う~ん微妙」
「今朝は何食った?」
「目玉焼きもどきとトーストもどき」
「何だよ、そのもどきって」
「似て非なるものとでも言っておきましょうか」と笑う愛香。
「そんなに酷いのか?」
「うん、酷い、酷過ぎる。トーストなんかさ、焦げたタコみたいでさ」
「タコ?」
「うん、丸いんだよ、何で丸いんだって聞いたら」
「食パンがなかったから、私が買って置いたメロンパンを焼いたんだって、それを焦がしちゃったもんだから悲惨な事になっちゃって」
「へ~っ、創作料理を作る才能があるかもな」
「黒タコパンで売り出す?苦情の嵐だと思うわ」
「だよな」と笑う僕と愛香。
その時、愛香の父親が外へ出て来て言った。
「昼は何食べたい?」
「それって料理ができる人のセリフっしょ」と愛香。
「そうだな、でもちょっと言ってみたかったんだ」
「いいよ、お昼は冷蔵庫の中にある物で私が作るから」
午後から出掛ける用事があったので、車に乗ろうとすると、今度は愛香の父親が花壇の草抜きをしていた。
「どうだった?愛香が作った料理」
「うん、無理して食べたから、ちょっと胸焼けがする」
「えっ?何食べたの?」
「チャーハンもどき」

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