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最終更新日:2024年04月26日
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第690話「律子さん96」

コーヒーの香りが充満するリビングで、A子と二人、淹れたてのコーヒーを飲む。
よほど美味しかったのかA子はうんうんと頷くと、少し得意気に言った。
「これさ、キリマンジャロより美味しいって、お店で人気の豆らしいんだ」
「へ~っ、そうなんだ」と私も一口飲むが、コーヒーの味はさっぱり分からない。
どちらかというと、簡単にできるインスタントの方が私は好きだ。
「どう?美味しいでしょ?」
「あ、うん、美味しいね、香りが凄く良いよね」と当たり障りのない言葉で適当にごまかす。
A子とは長い付き合いだが、美味しそうにコーヒーを飲んでる姿は、見た事がなかった。
「A子って、コーヒー好きだったっけ?」私の言葉に一瞬、コーヒーを吹き出しそうになるA子。
「どっちかっていうと、お茶の方が好きかな」
「私と同じじゃん、でもキリマンジャロより美味しいなら、高かったでしょ?」
「律子さ、私がそんな高い物買って来ると思う?」
「あっ、そうか、あんたケチだもんね」
「そうだよ、ケチなのに貧乏だから嫌になっちゃう。年末の旦那のボーナスがカットだったから大変だよ。もう今は、定年まで潰れないで~って祈る様な気持ちだもん」とA子は、ため息混じりに話す。
「でもさ~ボーナスはちょっと予定外っていうか、ショックだったな~今迄当たり前だったものがそうじゃなかったんだよね~。 もっと有難く受け取っておくべきだったわ~」
「そっか、今はどこも大変だもんね、それにしてもA子は貧乏じゃないよね」
「貧乏だよ」
「たんまりと貯め込んだヘソクリがあるじゃん」
「あれは私の給料と旦那のボーナスを貯めたやつだよ」
「こんな時こそ使わなきゃ」
「ダメだよ、あれでお家建てるんだから」
「あんたヘソクリで家建てるってどんだけあるの?」
「まだまだだよ。だって、ここより少し大きな家がやっと一軒建つ程度だもん」

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