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最終更新日:2024年05月10日
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第691話「正義の戦い」

雪だるまや怪獣らしき雪像?を横目に、僕は何年か振りに訪れた友達の家のチャイムを鳴らした。
「大紀はいくつになった?」
僕は久しく会ってない友達の息子について訊いた。
「もう9歳なんだ」
「へ~小3か、早いもんだな~つい最近産まれたばかりの様な気がするけど」
「子供の成長ってほんと早いよ、その分こっちはどんどんと年取っていくしさ」
やがて、大紀が友達のA君を連れて帰って来た。
「こんにちは」大紀がペコリと頭を下げる。
「こんちは、大きくなったな~あれ?どうした?」見ると大紀は、今にも泣き出しそうな顔をしている。
「大紀君は、僕たちの為に戦ってくれたの」と眼鏡の眉間の部分を人差し指で押し上げるA君の仕草は、どことなく大人びて見える。
「何だ、喧嘩したのか?」と僕が大紀に訊く。
「正義の戦いに負けた・・」と悔しそうに下を向く大紀。
「皆で仲良く遊ばなきゃダメだろう」と父親である友達は、もっともな事を言う。
「相手は6年だもんね」とA君が慰める。
「おとう、スマホ貸して」
「えっ?ゲームか?」
「違う、いいからスマホ貸して」と凄い形相で父親に訴え掛ける大紀。
スマホを受け取った大紀は、何度も文字を入力してはシュッシュッとせわしなくスワイプを続ける。
少し時間が経つと、大紀は僕の方を見て言った。
「ねえ、近くの殺し屋って打っても出て来ないんだ」
「えっ?近くの殺し屋?」と訳が分からない僕。
「あいつら殺し屋に頼んでやっつけてもらうんだ」
さっき正義の戦いって言ったのに殺し屋って・・・。
「そんなもん居るわけないだろ」と父親が笑う。
「六年生にいじめられたのか?」と僕が訊くと、よほど悔しかったのか、大紀は大声で泣き出した。
「バカだな~殺し屋なんて居るわけないのに」と笑うA君、どうやら見た目通り大紀よりも大人の様だ。
そんなA君が大紀に言う。
「調べるなら、近くのヒットマンで調べなきゃ」

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