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最終更新日:2024年04月19日
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第693話「お年頃」

まだ二月なのに、昨日から今朝に掛けて雨が降った。
いつもの様に寒さに備えて身体を強張らせながら玄関のドアを開けると、外は春を思わせるほどの陽気で、思わずフッと力が抜ける
「お早う!」隣りの愛香だ。
「お早う!道が酷いな」雪が融けてグシャグシャになった道路を見て僕が言った。
「この時期に雨ってありえないよね」と歩き出す愛香。
「おいおい、その靴じゃ染みるだろ、長靴ないのか?」
「親父のしかない」
「じゃ、親父の履いて行け」
「年頃の娘にそれは酷ってもんでしょ」
「濡れちまうより良いだろ」
「そんなの履くぐらいだったら、あたしゃあえて死を選ぶね」時計を見るとまだ時間があった。
「分かったよ、乗れよ」
「えっ?マジ?いいの?」
「どうせ、そのつもりだったんだろ?顔に乗せてって書いてあるぞ」と僕が笑う。
愛香はペロっと下を出すと、車へと乗り込んだ。
しばらく進むと、愛香が窓を開けて叫んだ。
「ミッタ~ン」途中で愛香の同級生を拾う。
「ユッカ~」もう一人拾う。
車内に女子高生が三人って、こんなに煩いものか?
毎日こんなのを相手にしてる学校の先生が、何だか気の毒に思えて来る。
「きゃ~ショウマ君!」ユッカという子が叫んだので、僕は車を止めた。
「えっ?何で?」と愛香。
「何でって同級生だろ?乗せてやれよ」こうして最後に男子を拾って学校へ向かうが、さっきまで助手席で騒いでいた愛香が、何故だか急に黙り込んでしまった。
後ろの席では三人で楽しそうに盛り上がっている。
何気にルームミラーでショウマを見ると、かなりのイケメンだ。
「なるほどね」と僕が笑う。
「えっ?何が?」と愛香。
「お年頃だもんな」という僕の言葉に何かを察したのか、愛香の顔がサッと赤らんだ。分かりやすい。
校門前で高校生を降ろすと、僕は愛香に言った。
「頑張れよ」
「うん、頑張る」
「勉強だぞ」
「何だ勉強かい」

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