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最終更新日:2024年04月26日
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第707話「マーちゃん75」

友達の息子である小学五年生のマーちゃんが夕飯の後片付けをしていた。
「今日は一人?」と僕が訊く。
「はい、お父さんは遅くなるって連絡がありました」
「何食べた?」
「豚丼と野菜サラダです」
「へ~豚丼か、凄いじゃん」
「豚丼のタレを絡めて焼いただけですよ、手抜き料理です」と笑うマーちゃん。
「それにしても偉いよな」
「そんな事ないですよ、自分の事は自分でやってるだけですから」
「自分の事も満足にできない大人と住んでるだろう?」
大笑いするマーちゃん。
「朝は何時に起きるの?」
「五時半ぐらいですかね」
「ご飯の支度と、お弁当作りに時間が掛かりますからね、本当はもう少し遅くても良いんですけど、余裕が無いと嫌なんで」
「えっ?毎朝あいつの弁当も作ってんの?」
「はい、最初は交代制だったんですけど、お父さんは仕事で遅くなる事もあるから、できるだけゆっくり寝てて欲しかったもので」
「そっか、優しいんだな」
「お互い支えあって生きて行くのが家族じゃないですか、僕だってお父さんが居ないと困りますから」
「困るって何が?」
「・・そ、そりゃ、お金を入れてくれる人が居なきゃ生活もできないですし」
「もし誰かが毎月きちんと生活費を入れてくれたら、あいつは居なくても良いって事か?」
「そんな事ないですよ、喧嘩する相手が居ないと・・」
「う~ん反論としては、ちょっと苦しいよな~」
「・・・ですよね~」
その時、父親である友達が帰って来た。
「おっ、来てたのか、ちょうど良かったな、たい焼き買って来た」マーちゃんは、たい焼きを受け取りながらニッコリ笑うと僕に言った。
「絆とか目に見えない物もたくさんあるって事ですよ」
「何の話だ?」と友達。
「もしさ、マーちゃんが居なくなったらどうする?」
「決まり切った事聞くなよ」
「えっ?どうするんだ?」
「自慢じゃないが、これだけは断言できる。生きて行けるはずがない」

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