昼休みになり、山本は椅子の背もたれを利用して大きくのけ反って伸びをすると、天井を見ながら言った。
「今日も豚丼かな～」
「俺も行こうかな」と羽賀。
「あれ？今日は愛妻弁当じゃないんすか？」
「ちょっと喧嘩してな」
「そういう事っすか」
こうして山本と羽賀は会社近くの豚丼店へと出掛けて行った。
「いや～美味かったな、たまに外で食う豚丼も良いな。　今度は一番高い特盛りにしようかな？」と羽賀。
「やめた方が良いっすよ、僕も挑戦しましたけど、肉が多過ぎて胸焼けしました」
「そっか腹八分でやめておくのが良いって事だな」
「そういう事っすね」
そして次の日の昼休み。
「何を食べようかな？」と独り言を言う女子社員。
「お弁当は？」と山本。
「今朝は寝坊しちゃって」
「一緒に行く？何食べる？」
「豚丼って言いたいんですが、昨日食べたんですよね」
「ああ、そんなのぜ～ん然気にする事ないから」
そして今日は、女子社員と豚丼店へ出掛ける山本。
「美味しかったです、ご馳走様でした」
次の日の昼休み、山本に加藤が声を掛けた。
「近くに豚丼屋ができたんだってよ、一緒に行くか？」
「えっ？・・はい豚丼大好きっすから」と言って加藤と出ていく山本を見て羽賀が女子社員に言った。
「あいつ３日連続豚丼だぞ」
「その前に一人で３日連続行ってるんだそうですよ」
「え～っ！６日連続か」
そして次の日の昼休み、出掛けようとする山本を部長が呼び止めた。
「昼飯か？一緒に行こう」
「えっ？あっ、はい」
「近くにさ・・・・」とまで部長が言い掛けた時、山本がすかさず言った。
「あ～っ豚丼屋っすよね」
「えっ？ラーメン屋行こうと思ったんだけど豚丼屋もできたのか？よし、豚丼が良いならそこにしよう」
「え～っ！」と落胆する山本だったが、部長は何を勘違いしたのか。
「ああ給料日前か、良いよ気にするな、一番高いのをご馳走するよ」